好きになるには理由があります
「いやいやいやっ。
 私、責任取れなんて言ってませんから~っ!」
と深月は自分を抱き上げる陽太の腕を何度も叩いたが、ペチペチという音しかしない。

 ああっ、こんなことなら、お父さんのジムに行って鍛えておくべきだったっ、と思いながら、

「わ、私も記憶ないですしっ。
 責任なんて、とってくれなくていいですっ。

 なかったことにっ。
 なかったことにっ」
と叫ぶと、

「なにっ?
 お前、あれだけのことをしておいて、なかったことにするつもりなのかっ?」

 どんな淫乱女だと言われてしまう。

 そのまま、あのベッドに放られた深月は思わず、

「助けてーっ。
 おかーさーんっ」
と叫んでいた。

 深月の身体の両脇に手をついた陽太に、
「……いや、お前。
 今、お母さんに来られても気まずいだろう」
と冷静に言われてしまったが。

 いや、それはそうなんですけどね……と思いながらも、深月は陽太の額に手をやり、押し返す。
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