好きになるには理由があります
「抵抗するな、深月」

 いつの間にか、一宮が深月になってるっ!

「お前は神に仕える巫女だろう。
 巫女さんが人の心をもてあそんでもいいのか」

 もっ、もてあそばれようとしているのは私の方ですっ、と額を押し返そうとする手に力を込めたとき、深月のスマホが鳴り出した。

 ポケットに入れていたそれを見ると、清春からだった。

 深月は慌てて、電話を取る。

「深月、今、何処だ」

 清春の声が聞こえた陽太は、
「……超能力か」
とぼそりと言う。

 陽太の手が離れたので、深月は起き上がり、その場に正座して、清春と話した。

 思わず正座してしまったのは、ちょっとやましい気持ちがあったからだろう。

 自分の意思ではないとしても、神様に捧げる舞の稽古の前に、こんなことをしているということに対して。

「うん、うん。
 わかった。

 すぐ行くから」
と早口に深月は言う。

 よそを向いている陽太を見ながら、チラと付け足した。

「あ、今から支社長も行くって」

「行かない」
と陽太は拗ねて言っていたが、結局来た。





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