好きになるには理由があります
 


 結局、二人で軽く船で食事をとって、万蔵の神社に行った。

「ほう。
 これが神楽殿か。

 まだ新しいようだな」
と陽太は境内の端に作られた神楽殿を眺めている。

 かなり簡易なもので、屋根はあるが、ほぼ吹きっさらしになっていた。

「今度の大祭用にわざわざ作っていただいたんです」

 深月が神楽殿の屋根を見上げて、そう言うと、
「じゃあ、終わったら壊すのか」
と陽太が訊いてくる。

「さあ……どうなんでしょうね?
 前回は壊したみたいですけど」

 そう言ったとき、近くに居た大工の氏子さんが笑って言ってきた。

「いやー、祭り用に建てただけだからねえ。
 台風とか来たら、ひとたまりもないから、壊しといた方がいいと思うよ」

 開始の時間からかなり過ぎていたが、まだ、どやどやと人が来る。

 寒いが、今日は位置確認のために、こちらに集まったようだった。

「あー、早くすませて、呑もう」
とおじさんのひとりが言う。
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