好きになるには理由があります
「そうだな、早く位置の確認をして」
と話していたが、いざ、舞台に上がって、移動してみたりすると、やはり、実際に踊ってみた方がいいと思ったのか、軽くおじさんたちは踊り出す。

 そして、そのうち、いつも通りに練習し始めていた。

 陽太はまだ舞うかどうか決めかねているようで、参加せずに、おじさんたちの舞をただ見ていた。

 陽太は白い息を吐きながら、
「すごい迫力だよな。
 本業じゃないのに」
と呟いている。

 確かに、寒い中でも、此処まで舞い手の熱気が伝わってくる気がした。

 そのとき、
「船長、こっちに座りなよ」
とやけに愛想のいいおじさんたちが陽太にパイプ椅子を勧める。

 船長?

 支社長のあだ名か?

 あのスタンプのせいだろうかな、
と深月が思っている間、パイプ椅子を神楽殿の正面前に置いたおじさんたちは、

「まあ、深月と座って見ててよ」
 などと、舞を強要することもなく陽太に言っている。

 陽太は、
「……ありがとうございます」
と少し警戒して言いながらも、舞を見ていた。
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