好きになるには理由があります



 支社長、今日も不自然に総務のカウンターの前を行ったり来たりしてるな、とデスクで仕事をしながら、深月は思っていた。

 いや、ちゃんと仕事で総務前を往復しているようなのだが、陽太の視線が不自然にこちらを向いているので、気になってしょうがない。

 しかも、そんな陽太と自分を獲物を狙うハンターのような目で見つめている人物が居た。

 昨日の『あんたどうせ、支社長の膝に乗って仕事するんでしょ』さんだ。

 隙あらば、総務周辺に来て、深月たちを見張っている。

 そのうち撃たれる……と思いながら、深月は変な緊張感の中で仕事をしていた。

 しかし、このままでは支社長も膝乗りハンターさんも仕事にならないことだし、いっそ、秘書室に行くべきなのか。

 だが、それはそれで、やっぱり膝乗りさんに撃たれそうだしなー。

 深月は備品倉庫に行って電球を取ってくると、こちらを横目に見ながら、また総務の前を通りかかった陽太を、

「支社長」
と呼び止めた。

 陽太がすごい勢いで振り向く。
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