好きになるには理由があります
「支社長、これ、杵崎さんに頼まれてた電球です。
 今からお持ちしますね」

 支社長に電球渡すのも、自分でつけろと言ってるみたいな感じになるから、杵崎の居る支社長秘書室まで持っていってもおかしくあるまい、と思いながら、一緒に歩く。

 陽太は嬉しそうだった。

 ちょっと仔犬のようだ。

 ……支社長を可愛いとか思ってしまった、と思いながら、深月は小声で陽太に言った。

「そうだ。
 杵崎さんが支社長の代わりに舞おうとか言ってましたよ。

 支社長は忙しいからって」

 そう言えと杵崎に言われたのだ。

「俺が忙しいのなら、秘書の杵崎も同じだろう。
 ……っていうか、あそこの巫女はお前だけだが」

 やっぱり、そういうあれだと思いますよね……?
と思いながら、深月は言った。

「杵崎さんにお願いしましょうか。
 支社長は乗り気でないようですし。

 ……何故か杵崎さんは乗り気なようですしね」
と深月が言ったとき、陽太はピタリと足を止めて叫んだ。

「俺が舞うっ!」
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