好きになるには理由があります
 



 結局、支社長のお言葉に甘え、お風呂に入った。

 ゆっくりお湯に浸かると、なにもかもが夢だったような気がしてくるが。

 ……まあ、この船で風呂に浸かってる時点でなにも夢じゃないか、と思ったとき、また誰かがノックした。

 いや、だから、陽太だ。

 ドア越しによく通る声がする。

「ゆっくり入れとは確かに言ったが、いい加減出ろ。
 朝食を食べる時間がなくなるぞ」

 すっ、すみませんっ、と慌てて深月が出ると、陽太は、もうスーツを着ていた。

「あれっ?
 お風呂は……」
と深月が言い終わるより先に、

「いや、お前、長そうだから、ゲストルームのシャワーを浴びたんだ」
と陽太は言う。

「もう朝食は用意してある。
 早く来い、冷めるだろうが」

「えっ? 誰が用意したんですか?」
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