好きになるには理由があります
 



 クリアファイルの束を手に、深月が戻ってくると、ちょうどカウンターの後ろを通りかかった営業のおじさんが言ってきた。

「ねえ、明日の小学校の社会科見学、案内すんの?」

「はい。
 私が担当させていただきます。

 あ、もしかして、お子さんがいらっしゃるんですか?」
と笑いかけると、

「うん、そう。
 よろしくね。

 俺に似て可愛いから、すぐわかるよ」
とおじさんは言ってくる。

「美人のおねえさんが案内してくれるって言っとくから」
とおべんちゃらを言って去っていくおじさんに、

「ありがとうございます~」
と深月は笑って頭を下げた。

 ふと気づくと、膝乗りハンターさんがじっとこちらを見ている。

「ねえ」
と呼びかけてきた。
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