好きになるには理由があります
 陽太の匂いと体温に、深月は思っていた。

 こんな風にぎゅと抱きしめられるの、お母さん以来な気がするな、と。

 今までずっと赤の他人として生きてきたのに、なんだか不思議だ。

 小さな頃、親に見守られ、無条件に愛されてたときみたいに、すごく大事にされてる気がして、ちょっと涙が出そうだと思った。

 だから、深月も抱き返してみた。

 もらったものを返すように。

「支社長」

「陽太」

「よ、……陽太さん。
 あの……。

 ……す」

 好きです、と言うべきだと思った。

 もう自覚はあったから。

 いっぱい嬉しくなるような言葉をもらったので、素直にそれを返したいと思った。

 でも――。

 ん? と自分を見つめ返してくる陽太の瞳になにも言えなくなる。
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