好きになるには理由があります
その夜、神社は人と機材でごった返していた。
重機も入って簡易の神楽殿の周りで作業しているし、おばさんたちは明日出す食事の仕込みで駆け回っている。
深月たちも仕事が終わってすぐに駆けつけ、手伝った。
「深月ー、皿出してきて。
洗うから。
蔵から平皿、あと百枚ー」
と誰かが母屋の台所の窓から叫んでくる。
「はーい」
とは言ったものの、
えっ? 百枚?
どうやって運ぶんだ、思った。
とりあえず、蔵にダッシュしようとしたとき、ちょうど通りかかった清春が、
「手伝おう」
と言ってきた。
「いいの?」
「こっちは大体終わった。
おじさんたちはもう飲み始めてる」
「……とりあえず、飲まないとなにも始まらない人たちだからね」
とプラスチックのカップや紙コップを手に、一応、神楽殿を見上げてなにか言っているフリをしながら、ただ呑んでいるおじさんやジイさんたちを見た。
……あの中に、あの晩、支社長に浴びるほど呑ませたジイさんもいるんだろうな。
前は見つけたら、文句を言ってやろうと思っていたが。
今は感謝したいような気もしている。