好きになるには理由があります
 そんなことがなかったら、きっと今も、ただの、総務と支社長という関係で。

 通りすがりに挨拶したり、新年の会で訓示を述べたり聞いたりするだけの間柄だったろうから。

 深月は清春と一緒に離れた場所にある蔵に入る。

「毎年、買い換えたらー? とか。
 もう紙皿にしたらー? とか思うんだけど」

 そう言いながら、深月は骨董品のような皿が並んだ棚を見る。

 ただ古いだけで、特に価値もない皿がずらっと並んでいた。

「子どもの頃はこんな古臭い絵柄の皿、やだな~とか思ってたんだけど。
 大人になったら、味があるな、とか思っちゃったりするんだよね」

 洗うの大変だけど、と深月が笑うと、
「去年、御橋(みはし)さんが次々洗うのめんどくさいから、自分の店に持って帰って洗うとか言い出したっけな」
と清春が言う。

 御橋は近くでレストランをやっているので、業務用の食洗機を持っているのだ。
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