好きになるには理由があります
 


 宵宮当日。

 会社のみんなも手伝ってくれ、祭りが始まった。

 浜に点々と篝火(かがりび)が灯されている。

 陽太の提案により、古い決まりごとを省略することなく、神社とすぐ側の浜とで神事が行われたあと。

 篝火が参道から海まで伸びていって、そこに止まっていた船に灯りが灯る。

 まず、中央に横付けしている陽太の船に。

 そして、両脇に停泊している漁船に灯りが入った。

 幻想的な光景だな、と潮風に吹かれながら、船の上で深月は思っていた。

 いつも食事をするデッキに神楽の舞台が設置されている。

 海では神事の一部だけをやる予定だったのだが。

 今年は神楽も海でやることになった。

 陽太も文献で読んだと言っていたが、昔は神楽を含む祭事のすべてを海でやっていたらしいのだ。

 海の神様を祀っているからだろう。
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