好きになるには理由があります
 祭り用の巫女装束を着た深月は社殿を向いて、舞台の上で正座していた。

 太鼓の音とともに両脇に灯りがともり、深月は立ち上がる。

 ゆっくりと手にしていた扇を夜空に向かい、掲げた。

 そのままゆっくりと旋回する。

 神楽のはじめに舞われるこの巫女舞で、巫女は回転しながら、神がかり、神を呼ぶのだ。

 深月はいつも頭を真っ白にして舞うのだが。

 この船が舞台のせいか。

 今日は陽太と出会ってからのことが次々と思い浮かぶ。

「あんたの彼氏はすごいのう」
とおじさんたちが言っていた。

 わずか二日で一気に、此処まで舞台装置を整えたからか。

 うん……。

 支社長はやっぱりすごいな。

 とんでもないこともするけど。

 ……祭りの前に殺されかけたし。

 でも、あの行動力は見習いたい、と深月は思っていた。
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