好きになるには理由があります
 


 そして、神は天と地に還り、神楽は終わった。

 祝詞をあげた清春が船を囲っていたしめ縄を切り、海に流す。

 神様はお帰りになり、祀りは終わったのだ。

 ……いや、人がいっぱいやって来たり、縁日が立ったりするのは明日だけど。

 みんなで船を片付け、漁船は移動し始めた。

 バラバラと人が帰り始める。

 深月たちは浜に降り、その光景を眺めていた。

 やっと終わった、という気持ちと。

 一抹の寂しさと。

 そんな深月たちの横で、おじさんたちが言っていた。

「船長の言うとおり、省略せずに神事をやったせいかな。
 今回の大祭はなにか降りてきた気がしたな」

 それを聞いた陽太が祭りの場から去りゆく人々を見つめながら、深月に言う。
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