都の剣〜千年越しの初恋〜
「……これから、沙月たちどうなるんだろう」

桜姫の胸の中には、本当に報告をしてよかったのかという思いの方が強い。それはきっと、他の妖怪たちだって同じだ。

しかし、これは神の定めた決まりなのだ。それに抗うということは、己の存在を消されてもよいと言っているようなもの。従うしか道はない。

「……沙月……」

桜姫は美しい青の空を見上げ、この世で今も生きる沙月を想った。



電車の揺れが心地よく、沙月は電車に乗ってしばらくすると眠ってしまった。

眠っている間も、沙月はサシャとツキヤの夢を見た。まるで自分たちが体験しているような不思議な感覚も感じるようになっている。もうただの夢とは、誰も言わないだろう。

「……おい！起きろ！！」

沙月の頰を葉月が思い切り引っ張る。痛みに沙月は顔をしかめ、「痛いよぉ〜！もう少しいい起こし方ないの？ツキヤだったら、こんな乱暴な起こし方絶対しないよ！」と言った。

葉月は余裕の笑みを浮かべ、「ならこのまま置いていってもいいんだな？」と言って通路を歩き始めた。

その様子を見て沙月は目を完全に覚まし、「待ってよ〜」と葉月の後を追う。
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