都の剣〜千年越しの初恋〜
緊張しながら訊ねるサシャに、ツキヤは頰を赤く染める。

「……とても、お美しいです」

その様子を見ていたお店の女主人が、「お嬢様はとってもおきれいですもの!とてもお似合いです!ですが、恋人の方のセンスもとてもよろしいですわ〜」と言う。

恋人、その言葉にどちらも否定することができず、ただ真っ赤に染まった互いの顔を見ていた。

「私は、生きている時は、日本のあちこちを旅していました」

かんざし屋を出て、ツキヤがそう言った。サシャの中で興味が湧く。

「お主は旅人だったのか?」

「はい、そうです」

サシャは、旅人の姿をこの目で見たことはない。しかし、強く憧れてはいた。自由に、誰からも縛られることなく自分の道を歩んでいける。それは、サシャにとっての憧れだった。

しかし、今はそれよりも考えていることがあった。

「……そうか、やはり生きていたのか……」

ツキヤは、いつかこの世に転生しなければならない。それは、この世界の決まりだ。しかし、サシャは神なので転生することはできない。
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