転生令嬢は小食王子のお食事係
「ところであんたらは一体なんだ?」
「離宮に滞在しているものです。あなたは?」
 マリオンが答えると、青年は抱えていた荷物を調理台の上に載せて口を開く。
「俺はテオ。庭師だよ」
 格好が侍従や執事っぽくはないと思っていたので、庭師と言われてなるほどと思う。
「ではあなたが毎日料理を届けているんですか?」
 私が問うと、テオは「ああ」と頷いた。
「でもあんたたちがなぜこっちの厨房なんかに? 何か探しものでもあるのか?」
「王妃様より王子殿下の食事の改善をと依頼を受けて参りましたので、まずは環境を確かめるために足を運びましたの」
「へえ~」
 私の言葉にテオは多少興味ありげに相づちを打った。
「ちなみにあなたに聞くのは筋違いかもしれないけれど、こちらの厨房は使用しても問題ないのかしら?」
「アイリーン様!?」
 テオに向かっての問いかけに、彼よりも先にマリオンが驚いた声を上げた。
「離れの厨房でいいのではないですか?」
「あちらももちろん使うわ。でも私、一度あの薪釜を使ってみたくて……」
 私は壁の方に視線を向ける。
 そこには石壁の中に半円の蓋がついている。
 それは薪釜だ。
 元の世界だとピザのお店にあったりもして、薪を燃やし、その余熱で焼くオーブンである。
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