転生令嬢は小食王子のお食事係
 そちらのほうに目を向けてみると、メイドのお仕着せをやや着崩して纏っている女性がいた。くすんだ赤銅色の髪は結い上げられているがルーズ。一方で顔にはしっかりと化粧を施しているようだった。
「あんたたち新入り?」
 入室の挨拶もせず、厨房に入ってくるなり、腕を組み足を突き出しながら彼女は言った。
 横柄な態度に私がびっくりする。
 直接私に言ったのではないと思うが、使用人にこのような態度をとられたのははじめてだ。
 というか、初対面の人にこんな居丈高にものを言うこと事態がありえない。
 驚きでパチパチと目を瞬かせていると、マリオンがすっと前に出る。
「こちらは、先日から王妃の使いで離れに滞在している伯爵令嬢のアイリーン様です。あなたはこちらの使用人でしょうが、突然そのような態度は無礼ではないですか?」
「……あら、それは失礼いたしましたわ」
 マリオンの言葉に、一応は丁寧な言い回しをするも、まだ腕は組んだままで慇懃無礼な感じがする。現に態度はまったくかしこまっていない。
 彼女は名乗ることもせず、マリオン、エマと視線を向けて、最後に私を見る。
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