転生令嬢は小食王子のお食事係
 薪釜は置く位置で温度も違う。燃やした薪は熾(おき)火(び)として釜の中に置いておくため、その位置関係によっても温度にばらつきがある。
 今回は釜の中心で焼き上げたが、長時間焼く必要がある料理は焼き具合を見ながら調整が必要だろう。
「おいしいぃぃぃぃ!」
 エマはぺろりとひと切れ食べきってから声を上げた。
「サクッとモチッが共存して、さらにこのソースとチーズがもうたまらないです!!」
「そうでしょう」
 エマが言わんとしていることはとてもよくわかる。私も同じことを思ったから。
「……アイリーン様、もうひとつ食べてもいいですか……?」
 窺うようにちらりとこちらに視線を向けるエマに私はクスリと笑う。
「ええ、もちろんいいですよ」
「やったー!」
 私の言葉に喜んで、エマはもうひと切れ食べようと手を伸ばす。
 すると、厨房の入り口から声が聞こえてきた。
< 146 / 215 >

この作品をシェア

pagetop