転生令嬢は小食王子のお食事係
 見るとすでにコンロの中には薪がくべられ、天板は熱せられた状態らしい。
 私はフライパンを天板に載せると、温まるまで待つ。コンロの天板は載せる位置によって火加減を調節することができる。
 今フライパンを載せているのは中火の位置だ。
 十分にフライパンが温まったら、油を敷き、一度コンロから下ろし、生地をお玉半分くらい流し込む。フライパンを傾けたまま、一周回すとフライパンいっぱいに生地が薄く広がった。
 その状態でコンロに戻す。
 薄いクレープ生地が焼き上がるのは一瞬だ。表面の色が変わったらひっくり返すタイミングだ。
 端にフライ返しを少し差し込み生地を持ち上げたら、そこを両手で摘まむ。
 私の作業を見ていたエマから「ええ!?」という驚いた声が上がるが、私は気にせず両手で掴んだ生地をひっくり返した。
 返された生地の表面にはうっすらと焼き目が付いている。とてもいい感じだ。
 裏面も三十秒ほど焼いたら、まず生地が一枚完成だ。
 大きなお皿にフライパンを返して生地を取り出すと、次を焼いていく。ミルクレープを作るためには、ひとつのミルクレープあたり最低でも十枚は生地が必要だ。
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