転生令嬢は小食王子のお食事係
「もしかしてこの生地をたくさん作るんですか? これがクレープになるお菓子ですか?」
「この生地を一枚使ったお菓子がクレープなんです。でもこれから作るのはミルクレープと言って、この生地を何枚も重ねて作るケーキです。そうだ、エマ! 手が空いてるのでしたら、生クリームを泡立ててくれないかしら?」
 クレープにしてもミルクレープにしても、生クリームが必要だ。電動のハンドミキサーなんて便利なものはないので、生クリームを泡立てるのは人力だ。時間もかかるので、大変だけど私が生地を焼いている間にエマにその作業をしてもらいたいのだ。
「……あれ、大変ですよね」
 何度かしたことがあるエマは少しげんなりした顔で呟く。
「そこをなんとかお願いできないかしら……」
「……アイリーン様のためですからね! がんばりますよ!」
 仕方ないなぁ、と言わんばかりにエマが笑う。クレープが食べたいという打算が満載だとしても、一人で作るよりも作業が分担できてとても助かる。
 コンロの薪の状態はまだ大丈夫なので、しばらくは生クリームの泡立てをがんばってもらう。その間に私はせっせとクレープ生地の量産に励んだ。
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