転生令嬢は小食王子のお食事係
 それにしても、庭師なのに食材の調達もするってテオは何者なんだろう……? レオナール様へのあけすけな態度も妙に引っかかる。
「とても助かります。もし食べたいものがありましたらおっしゃってくださいね」
「ありがとう。それじゃあ、今日はお暇しようか。ごちそうさま」
 そう言って、レオナール様は立ち上がる。
「そうだ、よろしければこちらもお持ちください」
 私はマリオンに言って、バスケットを用意してもらう。
 その中に、今日たくさん作ったマフィンとクッキーを詰めた。
「マフィンとクッキーです。お茶のお供によろしければどうぞ」
「……ああ、せっかくだしいただこうかな」
 マリオンが差し出すと、テオが受け取ってくれる。
 玄関まで見送りに行くと、「では、また」と言って、レオナール様は離れから帰っていった。

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