転生令嬢は小食王子のお食事係
「は~……! びっくりした! 突然いらっしゃるなんて……!」
「王子殿下とはいえ、やや不謹慎な気もしますが……」
 マリオンは未婚の女性のもとに、男性が夜訪問してくることが不満のようだ。
 ただ、ここは王子宮の中なので、レオナール様の好きにしても文句は言えない。そこに一時的に滞在させていただいているのは私たちの方なのだ。
「まあ、王妃様からの依頼はとても良い方向に進んでいるのだからいいじゃない?」
「そうですが……」
 腑に落ちないマリオンを励ますように言って、私は食堂に戻る。
 私も思うところがないわけではない。内心でトントン拍子に行き過ぎていると感じていた。
 でも王妃様の依頼はこなしたい。王妃宮での厨房使用権と結婚がかかっている。
 チャンスであるなら乗るべきだ。
 今日までは、ただ自分が作りたいものを作っていたが、明日からは厨房を好きに使えるし、レオナール様の食事改善のためにもっと献立を考えなければ。
 急にやるべきことが増えた気がして、私のやる気スイッチがオンになる。
「マリオン、明日から忙しくなりますよ!」
 ちょっと心配性な側仕えに激励を飛ばし、私はエマのいる厨房へ向かった。

* * * 

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