転生令嬢は小食王子のお食事係
 料理長が毎年作り置きしているイチゴのジャムは絶品だ。イチゴが好きな王妃様のために、イチゴの時期じゃなくてもその味が楽しめるようにと毎年大量に保存しているのだという。
 それをわざわざ提供してくれるなんて百人力だ。
 ただ、それによって私の中の小さな対抗心にメラリと火が付いた。
「時間はないですが、もうひとつジャムを作りましょう」
「え! いまからですか!?」
 私の言葉にエマがギョッとする。
「料理長のイチゴジャムだけで十分なんじゃ……」
「お好みで味を変えてもらうにしてもジャムが一種類しかないなら一択じゃないですか。せめてもうひとつくらいジャムがあってもいいと思いませんか?」
「そう言われたらそうですけど……」
「時間もないことだし、取りかかりますよ!」
 そう言うなり、私は食品庫に向かう。後ろからエマが「アイリーン様、必要なものがあれば私が持ってきますよ!」と追ってくるが、私はそれを「いいですから」と断って、自らの足で食品庫に足を踏み入れる。
< 21 / 215 >

この作品をシェア

pagetop