転生令嬢は小食王子のお食事係
「ふあ~いい匂い~」
 エマがうっとりとした様子で鼻から空気を吸っている。
 厨房にはオレンジのさっぱりとしつつも甘い香りが広がっている。煮詰めることによって、その香りは濃厚になっている。
 「このくらいでいいかな?」
 混ぜていた木べらで掬掬い上げると、煮込む前はさらっとしていた果汁にとろみがついている。鍋の中の嵩も半分くらいになり、オレンジの色合いも濃くなっていた。
「瓶は準備できてるぜ」
「ありがとうございます」
 料理長は保存用の瓶の熱湯消毒を済ませてくれていた。
 ジャムがまだ熱いうちに詰めて脱気する必要があるので、王妃様にお出しする分と、他の人たちの試食分を除いたあまり分はテキパキと瓶に詰めていく。
 小瓶ふたつ分ほどになったその瓶の蓋をしっかり閉めると、逆さにしてそのまま冷ます。これは密封性を上げて、保存状態を良くするためにする。
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