転生令嬢は小食王子のお食事係
「うめえ!!」
「…………は?」
「だから、めちゃくちゃうまいですよ! この菓子!」
「なんだ驚かせるなよ……」
 毒かと思ったら、うまいって……。
 肩から力を抜き、もぐもぐと口を動かしている部下に呆れた視線を送る。
「これ、殿下も絶対食べたほうがいいって!」
 どれだけ気に入ったのかは知らないが、絶賛しすぎじゃないか?
「僕はいいから、全部きみにあげるよ」
「え、いいんですか! やったー!」
 そう言うと、彼はまとめて二個口に詰め込む。そしてバスケットを抱えて。
「じゃあ、俺は明日の準備に取りかかります」
 と、若干もごもごしつつ言い残し、瞬きした瞬間に消えていた。
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