転生令嬢は小食王子のお食事係
「ああ、あの子が持ってきたお菓子のようだよ」
「へえ~!」
 彼は興味津々の様子でバズケットにかかっている布巾を開けた。
「おお、うまそう!」
 その途端、香ばしい匂いが漂ってくる。あまり食事に興味がない僕にはそれを表現する言葉が分からないが、食欲を誘うような甘くて少しほろ苦いような香りだった。
「殿下食べないんですか?」
「僕がそう簡単に人が持ってきたものを食べると思うかい?」
「はは、違いねえ。じゃあ俺が毒味ってことで」
 そう言うと彼は何の躊躇もなく、バスケットの中のお菓子を摘まみ、齧りついた。
「お! なんだこれ!」
 彼が驚いたように目を見開く。
「どうした、毒か!?」
 まさかこんな堂々と毒を入れるとは間抜けすぎるだろうと思いつつ、様子を伺う。彼はある程度の毒に耐性があるので大丈夫だと思うが……。
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