転生令嬢は小食王子のお食事係

　でもここでは私が臨時料理長。
　軽食やお菓子だけじゃなく、三食の食事も考えないといけない。
　そうなると、はじめにやることはひとつ。
「スープストックを作りましょう！」
「スープストックって、あれですよね。料理長がいつも大きな鍋でぐつぐつ煮ているやつ」
「そうです。いろんな料理に使えますからね。ただ、時間がかかるので、今日のうちに仕込んでおきましょう」
　私は必要な食材をエマに指示して厨房に手分けして運ぶ。
　調理台の上にそれを並べたら、いよいよ調理開始だ。
「アイリーン様、少しよろしいですか？」
　鍋や調理道具を用意していると、厨房にマリオンが顔を出す。
「マリオン、どうしました？」
「お料理をするのであれば、こちらをお召しください。先ほど荷解した荷物から持ってまいりました」