転生令嬢は小食王子のお食事係
 私の言葉に、エマはハッとしてから、案内してくれる。向かったのは厨房横にある小さな食料庫だ。
 王妃宮の厨房にある食料庫に比べると本当に小さな部屋だが、この離れの規模なら十分だ。
「今朝、王妃宮の料理長に言って分けてもらったんですよ!」
 どうやらエマはわざわざ王妃宮に行って食材を分けてもらってきたらしい。食料庫には数日分は持つくらいの量が入っていた。
「ありがとうございます、エマ。遠かったでしょう」
「いえいえ、正面の道を使うと遠回りですが、歩いてのみいける近道を使えば王妃宮まではそこまでじゃなかったです」
 エマはなんでもないように言うが、王妃宮から食材を運んでくるのは大変だっただろう。
「これならいろいろと作れそうですね!」
 食材を見ながら、頭の中で料理のレシピを思い浮かべる。
 ここでは王妃宮で作るのを遠慮していたものも作れる。王妃宮の厨房は料理長が取り仕切っているので、私がなんでも好きにしていいわけじゃなかった。
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