ヒロインvs悪役
「姫…別人みたい」
サナが目を丸くして言った。
「それって可愛くなくなったってこと?」
私がそう言うと、サナはさらに目を丸くした。
「…可愛くなくなったって…
いや、そういうことじゃないけど…」
「でも、今の私は男子が守りたいって思うほどのかわいさは持ち合わせてないよ。
だからサナに男を紹介することは出来ないし、ユカにオススメの化粧品を教えることも出来ない」
「…姫?」
昨日、家でゆっくり考えたんだ。
それでやっと気づいた。
…私、思い込みたかっただけなんだ。
私には友達がいる。大切な人がいる。
だから私は幸せなんだって。
でも、ーーーこんな偽りの幸せはいらない。
「サナ、ユカ。もう私に利用価値はないよ」
私が二人の目を見てそう言った瞬間、二人の目は確かに揺らいだ。
「利用価値って……、私たち別に姫のこと利用してたわけじゃ…」
「そうだよ…」
サナ、ユカ。
「そういうの、いらないよ。
私ね、ずっと勘違いしてたの。
二人は私の大切な友達だって」
「…あ、違うね。
二人は私のことを大切な友達だと思ってくれてると勘違いしていた、が正しいかな。
でも利用されるだけなんてもうごめん。
…じゃあね、サナ、ユカ」