ヒロインvs悪役
クラスの色んな人が見ている中で、私はそれだけ言い教室を出た。


ーーーーーー…あーあ。

言っちゃった。

これで本格的に一人か。




………でも、ずいぶん気が楽だ。

後悔なんて何一つない。

日差しが照らす廊下を歩いていると、唐突に聞こえた声。

「…凄い成長だね」

後ろを向くと、そこにいたのは春君で。




「見てたの?」

「教室に行こうとしたら声が聞こえてね」

「そっか」




春君といると何か落ち着くな。

陽だまりの中にいるみたいに、あったかい。




「…ねえ春君」

「何?」

「ーーーーー…これで良かったんだよね」





後悔なんてないけど。
ないけど。でも、本当にこれでよかったのか少しわからない。

偽りでも、友達がいなくなって一人になって。
それでもいいって自信を持って言えるかと聞かれたら、……言えないよ。






「…良かったか、は知らないけど、行動を起こしたことは無駄じゃなかったんじゃない?






ほら、後ろ見てみなよ」


え?

< 86 / 89 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop