年下幼なじみにずっと愛されてました
賑やかな声を聞きながら外を眺めている。
すると出発してからわずか10分ほどで隼人くんの声は聞こえなくなり、後ろの席からも話し声は聞こえなくなった。
代わりに気持ち良さそうな寝息が聞こえてくる。
みんな寝たんだと思って、ちらっと隣を見ていれば、遥と目が合った。
「眠い?」
「いや、…こんな状況で寝れない。」
「席代わる?こっちなら窓にもたれれば寝やすいかも。」
「大丈夫。」
そう言うと少し口角を上げた遥
今さらだけど、遥と普通に話せてるのが嬉しい。
笑った遥につられて私も顔が緩む。
「私ね、嬉しい。遥がこの高校来てくれて。…色々あって、遥が会えないところに行っちゃったから、もう見れないと思ってたの。遥のバスケ姿」
目を逸らして、思い出すのは中学の事
いつも側にいた幼なじみが急にいなくなってしまった時に感じた喪失感
「なんとなくもう会えないと思ってた。…会っちゃいけないんだって。」
「…ごめんな、莉子」
今ではもうあの頃の感情を微笑むぐらいになれていた私
そんな私を見て遥は顔を歪めて私を抱きしめた。