拝啓 元カレ上司サマ
「こんな時に何ですが…」
と、煌太はオーナー夫婦に話し始めた。
自分が彼らの言う、麗香の元カレであること。
記憶喪失が元で麗香を傷付けて、他の女性と結婚していたこと。
そして、既にその女性とは随分前に別れていること。
煌太の記憶が戻ったのを、麗香が知らないこと。
麗香が田上の御曹司と幸せにしているなら、見守ろうと思っていたこと。
この地に転勤になって、運命的なものを感じていること。
何とか麗香の手助けが出来れば良いと思っていること。
記憶喪失であった時以外は、例え別れても麗香を愛していたこと。
……etc.
そして何よりも伝えないといけない事柄──罰ゲームで、麗香以外の同僚女性とキスしたこと──を隠さず話した。