拝啓 元カレ上司サマ
彼らは、麗香がドン底にいた時分から家族中で彼女を見守ってきたのだ。
まさか煌太がその男だとも知らずに、マンションの住人になっていたのだから、さぞやオーナー夫婦も驚いていることだろう。
もし、彼らが事前にそのことを認識していたら、煌太など門前払いされていたかも知れない。
しかしながら、これまでの煌太の好青年ぶりを知っているオーナーは、取り敢えず話だけでも聞いてやろうと考えたのだった。
「麗香がいれば、他の誰かなんてどうでも良かったんです」