拝啓 元カレ上司サマ
もしかしたら、オーナー夫婦が“いまさら何を”と思っているのかも知れない。
けれど、それでも誰にも言えなかった過去を聞いてもらえたことで、次に進もうと思えるようになった。
皮肉なことに、その話を聞いてくれているのが、麗香の叔父夫婦であるけれど。
そう煌太が考えていると、オーナーが彼を真っ直ぐに見て話し始めた。
「岡谷さん、本当に後悔しているのだね。あの頃の麗香は、自ら死を選んでしまうのではないかと、皆で心配していたんですよ」