拝啓 元カレ上司サマ

記憶喪失というどうしようもない理由があったにせよ、麗香はそんな煌太を見舞ってくれたのに、彼から存在を忘れられてしまったのだから、当時の彼女の喪失感たるや如何ばかりか。

精も根も尽き果てた麗香は傷付いた心を癒すため、実家のあるココにわざわざ転勤したのだ。

そして、その後暫くしてから田上の御曹司と出合い、幸せを掴んだはずだったのに。

人生とは何と残酷なのだろうか。

麗香の愛する夫は、今では天国の住人だ。






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