拝啓 元カレ上司サマ

楽しそうな表情を一変して辛そうに顔を歪めた煌太は、熱で魘される(うなされる)愛しい女性を抱き抱える。

それから、麗香の寝室のドアを開けて、煌太は一瞬複雑な感情に襲われるが、優しく彼女をベッドに寝かせると、手を握って切なく呟いた。

「俺は、麗香が居れば何も要らないんだ。例え、心の中に田上さんが居座っていたとしても、お前の傍に居たいんだよ」

煌太は部屋を見回して、亡くなった宗也と麗香がこの寝室で、絆を育み愛を交わしあっていたのだと思うと、何とも言えないどす黒い思いが沸き起こっていくのを自覚する。







< 447 / 496 >

この作品をシェア

pagetop