秘密にしないスキャンダル
すごいーー。

それがカメラに飛び出てからずっとスキャンダルと言われた事柄について話している勇菜への率直な感想だった。

確かに事情を知っている人からすれば全くスキャンダルには程遠いものだけれど、それを全く知らない人達からの軽蔑の眼差しを受けても尚、堂々とした佇まいで真実を話して誤解を紐解いていくその度胸は幼い頃から芸能界を知っていたからか、離れてはいるが心強い味方がいるからか、勇菜の性格ゆえか……。

隣に立つ堀原をそっと盗み見ると真っ直ぐに勇菜を見つめていて、その視線は失敗を決して許さないと言っているように厳しいものだった。

スタジオのスタッフや共演者の人達も勇菜や陽菜、拓也に勇人の話を聞いてさっきまでの勇菜への嫌悪感は薄れてきたように感じた。
ただ一人、美佐だけは憎しみを込めて変わらず勇菜を睨み付けているけれど……。

「……それでもきっと世間は納得しないわ。
一度植え付けられたイメージは簡単に回復しないもの……こういう恋愛に関することは特にね」

「私もそう思います。
だから新しいイメージをもってもらおうかと思ってるんです」

そう言って機材に身を隠すように言っていた勇菜がこちらをチラッと見てきたのに気付いた。
呼んだら来てね。の合図だとわかりすぐに立ち上がると勇菜が戦っていたその場へと足を運んだ。
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