Love Eater



「残念ながら見つけるには至ってないよ」

「……なんだよ、期待させんな」

「みるみる消沈しちゃって。そもそも俺六花ちゃん追い始めたばっかのペーペーよ?ソルトきゅんみたいに頭の引き出しに過去の出没記録があるわけじゃないし、アテがあるわけじゃない。しかも毎日必死に探してるソルトきゅんが見つけられてないのに俺なんかが思いつきの手さぐりで見つけられると思う?」

「あー、分かった分かった。『見つけてない』の一言でいいから。今長々お前の説明聞く気力ない」

「あそ?じゃあ黙ろうか。探し出す方法を思いついてみたんだけど説明長くなるし」

「っ……言え!」

「本当……余裕がない獣だねえ」

死んでみたり猛ってみたり。

蓮華の中の記憶でも、ソルトはもっと冷静で警戒心も強い男であった筈なのに。

それが魔女の小娘一人にここまで振り回されるなんて面白い話もあったもんだと、ついつい心で嘲て口元の弧が強待ってしまう。

確かに、今のソルトは百夜の言う通りに日が立つほどに余計なものが削ぎ落されて、普段は抑制している本能が見え隠れし始めている。


< 118 / 216 >

この作品をシェア

pagetop