Love Eater



その本能を見透かすように蓮華の紅の双眸がソルトの猛った緑と対峙して数秒。

「灯台下暗し」

「……あっ?」

「いやね、六花ちゃんが無条件で反応するものって何だろう?って俺なりに過去のファイリング読みながら探ってたんだけどね」

「…お前、案外勤勉なんだな」

「お仕事はちゃーんとこなしますよ?」

「で?お前なりに得た答えってやつは?」

「うん、六花ちゃんが騒ぎを起こすのってだいたい何かの事件の加害者に対して微々たる制裁を与えてるって流れでしょ?つまりは人助けなわけだ」

「まあ、そうなるからまだ強制執行対象止まりなんだけどな。それが?」

「うん、だから俺過去の履歴にあったような裏路地とかでワザとこういう事件紛いな事発生させて六花ちゃんをおびき寄せようとしてみたんだけど…」

「はっ?お前なんつー荒っぽい…」

「お芝居だよ。お芝居。人に頼んで演技してもらっただけだから。実際に被害者加害者が出たわけじゃないんだって。それに、知ってか知らずか、どうにももう六花ちゃんは人助けなんて物に興味がないみたいでねえ」

「……」

「まあ、騒ぎを起こしたところで想い人が追ってくれるわけじゃなくなったからねえ。ましてや逢瀬を放棄されて決別されたと思ってるだろうし」

「蓮華、結局は俺の傷を抉りたいだけなのか?」

期待して話に耳を傾けたというのに。

結局は嫌味に皮肉った言葉で傷を抉るようにこの現状を突きつけてくる。


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