Love Eater
どこまで人をおちょくるのだと張り付いている蓮華の体を振りほどこうとしてみるのに、それを見計らっていたらしい蓮華がクスクスと悪戯に笑いながら更にカッチリとホールドしてくる。
そうして、宥めるように耳に直に吹き込まれる「まあまあ」という蓮華の声音にはソルトも渋々抵抗を止めて耳を傾けてしまうのだ。
「ここからが本題だから」
「はあ、本当に簡潔に頼むよ」
「本当に……余裕がないせっかちさんだねえソルトきゅん」
「ああ、もうっ、そういうのいいって言ってんだろうがっ」
「ククッ、そんなんじゃさあ、」
「っ___!!!?」
「……女の子にモテないぞ?」
ドンっという衝撃が先か、音が先か。
追ってすぐに身体を蝕んでくる痛みは脇腹あたりから。
目で確認せずとも自分の鮮血があふれ出ていくのが感覚的に分かる。
ただでさえ疲労に満ちていた体はあっさり衝撃のままに倒れ込んでも不思議ではなかったというのに。
まだ地面に両足を着け安定している視界は未だソルトの体を拘束している蓮華によるものであるのだ。
撃たれた。
蓮華に。
薬弾などではなく実弾で。
一瞬は混乱するもすぐに脳内は事実を把握し、把握してしまえば流石に敵意全面に蓮華の体を振りほどこうとするもそれは叶わず。
決して蓮華の力がソルトを上回っているわけではないのだ。
寧ろ傷を負おうが力はソルトの方が上だろう。
それでもどうにもソルトの体は首以外ピクリとも動かす事が出来ずにいて。
その理由さえ理解しているからこそ、更なる憤りを乗せた緑の双眸は蓮華を睨みつけるのだ。