Love Eater
ソルトもまた仕事上の接触にすぎない。
仕事上魔女の因子を放っておくことは出来ないだけの話。
それでも執行権を持たぬ立場が為すべき仕事など、上に発見状況を説明し速やかに最寄りの役所に子供を引導する事だけだ。
ただ、それだけでいい。
これ以上の会話なんてものも必要ない。
ソルト本人も面倒事は御免だと答えはとっくに打ち出されているのだ。
言うべき言葉はただ一つ。
『政府の命により身柄を速やかに連行し処置を施す』
その決まり文句ひとつで終わりであったのに。
「……っ……えっと、なんだ?お前……死にたいって…事か?」
実際自分の口から響いたのはそんな業務外の私情への関与だ。
ソルト自身何を切りこんでるんだ俺っ!と、心で突っ込んでしまう程予想外の行動をとってしまったのだ。
思いっきり面倒事に踏み込んでるじゃんか!!と思わず頭を抱えたくらいであるのに、問われた六花は感情一つ、その眼差し一つ動かさずに静かに小さな唇だけを動かしてみせて。
「死にたいなんて欲すらない」
淡々サラリと冷めた結論だけ告げるのみ。
そこでソルトも受け流せばいいものを、
「いや、だってさっき死ぬために生きてるって、」
と、こんな風に更に会話を追及してしまうのは世話焼きの性分なのか。
そんな食い下がりには流石に六花の視線も静かに動き、目の前で気まずそうにしているソルトの姿を水色の双眸に映すのだ。