Love Eater
そうして再びポツリ、
「死ぬために生を消化してるだけで死にたいとは言ってない。死んでも良いとは思ってるけど」
「あー……駄目だ。頭痛くなる会話だコレ。つまりなんだ?死ぬ気はないけど死んでも良いと思ってる?……コレ辻褄あってるのか?」
「………」
「おい、無視すんな」
「……寧ろ、何でそんなに理解しようとしてるの?」
「あっ?」
「理解したところでお前には関係のない僕の在り方なのに」
六花からすればソルトは突然目の前に現れた招かれざる客であるのだ。
特別迷惑とも不愉快とも不都合とも思ってはいないが、不可解な人間だとは感じたのだ。
そんな疑問を音にして響かせ、その答えをソルトに求めたというのに。
「お前ねえ、自分より遥かに年上の人間を『お前』呼びするな。それに、まだ生まれて数年生きただけのガキが全て知ったように死を望んでんじゃねえぞ」
返されたのは論点違いの的外れときている。
この人間は本当に馬鹿という類のものなんじゃなかろうか?とまでこの時の六花に思われていたことをソルトが知る由もなく。
それでも、ソルトの放った言葉の一つには静かに息を吐きだして反応したのだ。
「……不正解」
「ああっ?」
「僕は知ったかぶってなんてない」
「はっ?」
「知ってるどころか、何も知らないし何もないんだよ」
「……」
「あるのは平等に訪れる生と死だけ」
だから、確かに訪れる死を待っているのだと、音として響かせずとも死を見つめるような姿でソルトに伝えたのだ。