Love Eater
六花なら理解してくれるだろうと。
魔女の事情も、今後の事情も。
ソルトからすればそれが六花の後の幸せであると思いを込めて事実を告げたのだ。
そうして六花が何かを思案するように沈黙する事数秒。
大きな水色の双眸が音が鳴りそうな程長い睫毛を瞬かせたかと思うと結論の眼差しを向けたのだ。
「分かった」
「……あ、本当か。良かった。お前ならちゃんと理解して…」
「僕、普通になるのやーめた」
「………………へっ?」
「思い描けば何でも……だっけ?」
ソルトが呆気にとられフリーズした思考を立て直すより早く。
六花がクスリと悪戯に笑ったかと思うと次の瞬間には地面を蹴り、ソルトも手の届かぬ空中へとその身を浮かせていたのだ。
それには周囲の人間の方が『魔女』だと騒ぎ始めた事もあり、ソルトもようやく我に返って六花に制止をかけようとしたのだが。
「っ……六花、お前冗談やめて降りて来い」
「ん~、残念~。全然本気なんだよね僕」
「お前っ、俺の話聞いて分かったって…」
「うん、よーっくわかったよ。魔女で居た方が一緒にいられるんだってことがね」
「なっ…」
「しかも……追いかけてくれるんでしょ?魔女であればずーっと。それが仕事なら絶対に、」
「おーまーえーはぁぁぁ」
「それには僕もうんっと磨かないとね。女としても、魔女としても」
「六花ぁっ!!」
「フフッ、じゃあ、来たる日までさようならおにーさん」
聞く耳持たず。
ソルトがどんなに喚こうが手が届かぬ場所の存在にはどうする事も出来ず。
バイバイなんて手を振ったが最後。
次の瞬間にはパッと姿を消して、その後10年六花は現れることはなかったのだ
当然、魔女の因子を見つけたにも関わらず連行に失敗したソルトは上からも叱責されるし踏んだり蹴ったり。
なんにせよ、ソルトと六花の因縁はこうして始まったのだ。