Love Eater
「僕に何の用なのさ?」
そんな声は上方から静かに冷たく降り落とされる。
相変わらず自分に対しての情は皆無の冷たさに、堪えるどころか蓮華は恍惚と笑んで上方を見上げるのだ。
それでも、見上げる視界にそれらしい姿は捉えられず、そんなつれなさにまで一笑しながら、
「やほ~、六花ちゃん。居るんなら顔くらい見せてほしいなぁ。……俺が恐いってなら話は別だけど」
「馬鹿じゃない?もうとっくにここに居るし」
蓮華の売り言葉に冷ややかな返答が響いてきたのは先程とは違う前方から。
それに蓮華も驚愕するでもなく。
再び声に合わせて視線を移せば、今度はビルの壁際に寄りかかっている姿を捉えることが出来たのだ。
さっきの言葉のまま。
この場に無興味で、今も尚『なんの用だ?』と言わんばかりに自分の爪を見つめるばかりの六花の姿。
近くには傷を負って倒れ込んでいるソルトの姿があるというのに、駆け寄るでもなく蓮華に憤りを見せるでもなく、ただつまらなそうにその場に居合わせる。
そんな六花の情の薄い対応には蓮華もクツクツと笑い、
「冷たいねえ。てっきり愛しのソルトきゅんに駆け寄って泣きつくでもするかと思ったのに。いいの?見た通り出血沙汰よ?」
「お前がしといてよく言うよ。それに、駆け寄って泣き縋る程致命傷な傷じゃない。それどころか一番臓器も傷つかず後遺症すら残らない様なところを狙ったくせに」
「あらら、なんだかんだいつの間にかソルトきゅんの状態調べてるんじゃないの」
「もし、ソルトに本気の致命傷を食らわしてたらそんな軽口叩けさせてない。……とっくに、この世にいないよ?お前」
「ああもう………煽ってくれるなって」
六花からすれば本気の殺意。
なのに、その拒絶や嫌悪が本気であればあるほど蓮華の執着も興奮も高まってしまうのだ。