Love Eater




見える内部にも六花の姿は無いが、ソルトの銃口は迷いなくその入り口の方へと向けられる。

なのに、どうしても込み上げてきた感情には仕事の緊張感を突き崩されてしまい、次の瞬間には苦笑を浮かべて息を吐いてしまうのだ。

「…呼び出しておいてかくれんぼか?六花」

「っ……」

そんな呼びかけをすれば小さくも息を飲む音がソルトの鼓膜を掠めてくる。

勿論普通であるなら聞こえる筈もないような小さな音。

匂いも音もソルトの長けている嗅覚と聴覚によって感じ取れるもので、初めてこの力にソルトはありがたみを覚えていたのだ。

だからこそ、間違えない。

見逃さない。

確かにそこにいるだろう?と確信を持って入り口を見つめ、そうして再び、

「どうしてもかくれんぼがしてえってなら……鬼役買って捕まえにいってもいいんだぞ?」

「っ~~」

今度は少々虐め心で、そんな脅すような言葉を向けて一歩ばかり距離を詰める。

そんな刹那に、チラリと影が動いたのはやはり入り口付近。

ソルトが開いた扉の裏側、ようやく顔半分ばかりを覗かせてきたのは間違いなく六花の姿である。

それでもそこ止まりでジッと様子を伺い警戒する様は猫の如く。

それにはソルトもいつもの調子に神父として気張る事も出来ずに苦笑のまま銃を下ろして六花を見つめたのだ。

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