Love Eater
なんなら特定の恋人なんかは作らず気分や欲求のままに適当な相手と楽しむタイプだ。
だからこの事の始まりにはいつもの如く、さっさと解消してしまおうと適当な女性と一夜を共にしたのである。
「つまりは欲に忠実に可愛い女の子引っ掛けてハッスルしたわけだ。それなのにここまで欲情拗らせてると、」
「本当…意味わかんねぇんだよ。サッサッと発散させるつもりで無茶苦茶に抱いたつもりなのに…」
「気持ち良くなかったと?」
「気持ちは良いし感じまくってんのに全くイケねぇんだよ」
「ヤダ、リッくんってばイン…」
「違えよっ。そんな原因だったらお前を頼るより普通の医者に頼ってるわっ。それに自分で処理する分には普通にイケるんだよ」
「つまるところ、対人の性交渉のみ不能だと」
「寧ろ完全に不能になってくれた方がどれだけ楽か…。これがイケないくせに臨戦態勢解除にならねえから超しんどい」
「みたいだねぇ」
性欲持て余しての満身創痍なんて、笑い話の種にもなりそうな物である。
それでも当事者のソルトからすれば切実と言える身体の病で、それが生活にも影響を及ぼし始めているのだから笑える筈がない。
ソルトなりに自分で出来うる対処法は試してみたのだ。
それでも改善どころか悪化を辿る自分の事態に、背に腹はかえられぬとあまり素直には頼りたくない男に縋ったのだ。
政府公認の魔導師であるこの百夜に。