Love Eater
魔導師なんて大層な名前を掲げてはいるが、それこそソルトの【神父】なんて看板と大差はない。
別に杖を振りかざして呪文を唱えるでもないし、基本的には私情でその力を使うことは禁じられている。
なんなら一般には認知されていない政府の職種とも言えて存在そのものが極秘。
この世界には魔女がいる。
そんな事は当たり前の常識に認知されて、人々の危惧とされているが。
危惧に対しそれなりの処置を施せる現状であるからして、当たり前の様に世間一般にも認知されている存在なのだ。
軽視はしておらずとも魔女に対してはその事例や記録も多く、だからこそその力を打ち消す特効薬なんて物も生み出せたのである。
本当に危惧すべきは非認知の常識の方であろう。
異例で少数で特殊な血の持ち合わせ。
それ故にまだ詳しく研究解明となっていない存在達が確かにいて。
そういう者達からすれば魔女である方が幾分か世の中に理解され生き易いとさえ言える。
危険度が未知数と言える存在を政府が公にする筈もなく、かといって野放しにするわけもない。
幸い、個人を確保すればその個人の研究くらいは進められるわけで、その未知数に対して少しばかりの対処や処置は可能であるのだ。
魔女同様、大半の者は持て余す力やレッテルを捨て多数の中で普通に生きる事を望む。
捨てられずともなんらかの処置で抑えられるならそれに越したことはなく、自ら政府に身を任して保護を受けつつ研究材料にもなっているのだ。