Love Eater
そう、靡く筈ねえ。
「やったぁぁぁん。今日のパンツは濃紺ボクサー」
「っとに……いちいち人のパンツ盗んでんじゃねえぞ変態女ぁ!!」
「嫌ですぅ。ソルトのパンツはイコール僕の物でしょ?」
「どんな理屈だよそれっ!?」
「よしよし、今日からよろしくねヘンリー、可愛がってあげるから」
「何でパンツに名前つけてんだてめえはっ!?」
「だぁって……名前を付けた物には益々愛着ってもんが沸くものでしょ?」
「っ……」
ソルトなら分かるでしょ?
そんな風な含みたっぷりに微笑む姿はいつもの如くな変態三昧。
撃ち込まれる銃弾なんてなんのその。
ひらりとかわしては何事もなかったかのようにソルトとの逢瀬の時間を楽しむのだ。
ソルトをおちょくって。
こんな自分に盲目な六花が他に靡くなんて思うはずもない。
それ故に、確かに情に流されすぎてるんだろうな。と思わざるを得ない。
自分でも嫌でも自覚している関係であるのだ。
もっと自分の使命に真っ当であるならどんな手を使ってでも六花を捕えて特効薬を撃ち込んでいる筈。
それが出来ないわけでもないのに、馬鹿の一つ覚えで形ばかりに銃口を向け当たらぬと分かっている弾を放つばかり。
ひらりとかわされる度に憎たらしさと、それを上回る安堵感と。
もし間違いにも当たって魔女でなくなってしまったとしたら…。
その瞬間六花はどんな反応で現実を受け止めるのか。
受け止めきってくれるのか。
自分にまだ今までの様な好意や笑顔を見せてくれるのか。
そんな不安を抱いている心を否めない。