Love Eater
そんな不安が神父としてのソルトを鈍らせて毎度の流れとなってしまうのだ。
今日もまた然り。
目の前にはこの堂々巡りのお約束な時間を満喫して喜ぶ六花の姿があって。
度重なるおちょくった言動行動も、変態行為にすら、最初の頃の様な苛立ちさえ抱けなくなりつつある。
寧ろ、コレが安定の2人の関係で、ソルト自身この時間をどこか待ち望んでしまっているのだ。
ソルト自身は頑なに心に否定はするけども。
自分への好意が全てある六花の行動に、どうして不快に思えようか。
今向けられる少し意地の悪い笑みでさえだ。
憎たらしくも愛おしい。
欲しい。
そんな本能が心を掠めた刹那だ。
パァンと鳴り響いた銃声に驚愕を見せたのは六花だけではない。
ソルトも目が覚めたかの様に我に返り、思わず自分の手にある拳銃に視線を落としてしまったくらいに。
それでも発砲したのが自分で無い事は百も承知。
自分の銃が暴発したのでなければ狙撃は別の銃からとなる。
そんな結論に焦りを覚えながら改めて六花に視線を走らせれば、未だ驚愕を見せつつも当たった様子はない。
六花の魔女としての健在に、安堵を覚える自分の末期さに嘆くより早く。
「クックッ、ほーんと、良い様に遊ばれちゃってるのなぁ」
聴覚に響く嫌味な声音。
当然、いきなり狙撃した存在に六花が警戒しない筈もなく、いつになくその双眸に鋭さを纏って相手を見据えたのだが。
ソルトの方は誰だ?なんて疑問を抱く筈もない。